ジャニーズ問題の根本原因
ジャニーズ問題の本質が、日本の教育の問題にあることを誰も言わない。誰も問題の本質に触れないので、同様の問題が今後再発する可能性が極めて高いし、今日もどこかで第2第3のジャニーズ事件が、日本のどこかで発生しているに違いない。経済同友会、日本商工会議所‥のトップからの指摘が事の本質の見誤りの典型である。
誤解を恐れずに言わせてもらえれば、芸能界自体の倫理観は決して高いモノとは言えない。 むしろ倫理観の危うさを売り物にして大衆の興味や関心を掻き立てるものである。ただし、活動の根底には「他人の人権を絶対傷つけない」という信念が不可欠なのである。
「他人の心の痛みが分かること」が教養の定義だとすれば、教養を身に付けて芸能界を確り生き抜くことである。
私は、小中高校生が芸能界入りを切望することは、日本の教育問題に関連する懸念が大いにあると考えているので、以下この問題に関連して下記5点を指摘する。
そもそも、この事件を冷静に見つめれば、「アイドルとして売れることが人生の価値である」という大いなる考え違いをした数多の子たちに、アイドル採用権を持つジャニー氏の欲望が牙をむいた事件であることがすぐわかる。ご両親もマスコミも、子供がアイドルとして売れることを強く望んでいるので、事件関連者の間で、忖度や隠蔽が潜行するのも頷ける。そして子供タレントがマスコミを通して、歌い踊り狂う姿は、「カルペディウム」(今日を楽しめ)の真の意味を理解しない誤用に過ぎない。「カルペディウム」の真意は、道元の「今を生きる」に通じるものである。今を一所懸命に生きて明日につなげることが大切だと言っている。
まともな教育を未だ受けていない子供らはともかく、彼等を操作する周囲の大人たちが「人生の意味」を考えたこともないのだろう。人生jの意味を考える習慣がない、或いは読書もしたことが無い人間に文化の熟成なんぞ望むべくもない。私が指摘する「日本の教育問題」とは、『人生の意味を考える教育』がなされていないことである。漱石も鴎外も龍之介も、日本の教科書から消えたそうだが、受験戦争を勝ち抜くことに人生の意味があるという考え違いしている連中ならば、そのような骨抜きの指導要領を作り上げるだろう。このことは近未来の日本の大問題である。
日本の教育の問題
① 教育の偏り
小中高校生が芸能界入りを切望することは、教育の偏りを引き起こす可能性がある。一部の生徒が他の職業選択(例えば、受験~就職というパターン)よりも芸能界を訴求することが、人生で意味があるものとして優先することで、教育システムがバランスを失い、教育の目的である人生の知識とスキルの獲得が疎かにされる可能性が大いにある。
② 将来の不確実性
芸能界への進出は非常に競争が激しく、成功する確率は極めて低い。多くの子供たちが夢中になって努力をし、最終的には失敗する可能性が高いため、将来の不確実性が増加する。これにより、彼らの将来に対する不安やストレスが生じ、成人前から心理的な問題が発生する可能性が高い。
③ 教育の質への影響
芸能界への夢中になることが、教育の質に悪影響を与える可能性がある。生徒が時間とエネルギーを芸能活動に注ぎ込み、学業に割ける時間が減少することがあり、学力の低下や学業への関心の減少が懸念されます。
④ 健康への影響
芸能界入りを追求するために、生徒たちはしばしば過度な努力や食事制限を行うことがあり、健康への影響が出ることがある。また、長時間の練習やスケジュールの過密化により、ストレスや睡眠不足が生じる可能性もある。
⑤ 社会的な問題
小中高校生が芸能界入りを切望することは、社会的な問題も引き起こす可能性があります。成功しない場合、自己評価の低下や社会的孤立感、いじめなどが生じる可能性がある。(いじめ問題は本稿のテーマがぼやけるので別途詳説する)
これらの懸念を踏まえて、日本の教育システムは生徒たちに多様なキャリアオプションを提供し、バランスの取れた教育を提供する必要があるというのが私の持論である。
つまり、教育機関や親、社会全体が、芸能界への進出を考える生徒たちに現実的な情報やサポートを提供し、彼らの将来の幸福と健康を保護する役割を果たすべきである。
これらの教育の問題の解決を回避して、テレビで報道されているような補償云々主体のJ問題の解決を追求しても、青少年への人権侵害という認識と根本的解決にはならない。類似の問題が再発するのは必至である。
最後に少しだけ幅を拡げて申せば、家庭における両親の教育の在り方にも問題が多すぎる。家庭内DVや離婚は論じるに値しないが、両親が「人生の意味」について考える機会を持とうとしないで子供の教育に当たれるはずがない。
J.北川氏の罪は明らかで、子供およびその親が、アイドルになりたい、或いはさせたいという弱みに付け込んで、自分の地位や権力を駆使して己の欲望を満たしてきたことである。しかも、親も含むその相手が人生の意味とか意義に関する教育を満足に受けたことが無い若年層を対象にして犯罪を繰り返したことである。この辺が、ハリウッドの「キャスティング・カウチ問題」や「Me Too運動」と一線を画する点を理解しておきたい。