一座建立の中学校の同窓会

「一座建立」という言葉は、仏教や茶道において深い意味を持つ概念であり、一瞬一瞬の出会いがもたらす特別な意味を指す。人が集まり、心を一つにして何かを築き上げるその瞬間こそが、人生の中で何よりも貴重なものとされているのである。今回故郷の長崎で開催される附属中学校の同窓会(昭和39年第14回卒業生の同窓会なので「附十四会(フトシ会)」)に参加できないので、この「一座建立」の精神を心に刻みつつ、遠く離れた東京の地からその場に思いを寄せたいと思う。

同窓会の場に集まる友人たちに、言葉にならない感謝の気持ちのしるしに、私の新著「英国国教会とイギリス社会」を謹呈することにした。この本では、イギリスと長崎五島の自然に触れる中で、自然と宗教、人間との関係について改めて考えたことを綴っている。同窓会という特別な場において、私が経験したこれらの思索が少しでも彼らの心に響けばと願っている。


卒業生が250名ほどの小さい中学校の同窓会の案内が届いたのと同時に、友人たちの名前がスラスラと思い起こされた。関東在住の4~50名ほどの同窓生の集いを40歳から毎春開催しているからである。あの頃の思い出が一気に蘇り、胸の内に暖かさが広がるのを感じた。しかし、今回はどうしても故郷で開かれる「古希の会」スケジュールの都合がつかず、参加を見送らざるを得なかったので本文を自分のブログに綴っている。その場に立ち会えないという事実は寂しくもありますが、遠くからでも心を寄せることができるのは、現代のありがたさであり、また「一座建立」の精神に通じるものがあると感じるからである。

長崎は、私にとって特別な場所である。中学時代を過ごしたこの地は、私の人格形成において重要な役割を果たしました。港町ならではの開放感と歴史の重みが混ざり合った独特の雰囲気は、私の感性を育んでくれた。その長崎で友人たちが「古希の祝い」を兼ねて再び集まり、昔と変わらぬ笑顔で語り合う光景を想像するだけで、心が満たされる思いがしている。

一方、私は人生晩年に思い切って自費出版することにした。それはもう30年以上も前にイギリスでの駐在経験を通じて、自然と宗教、そして人間の関係について深く考える機会を文章に残しておきたくなったからである。
イギリスのなだらかな平原や湖水地帯が続く風景は、長崎のそれとは異なり、どこか英国国教会に内包する「穏やかな寛容性」に通じるものがある。イギリス人は、自然と共生するライフスタイルを貫いている。同時に教会や古い街並みには、歴史と共に生きてきた人々の思いが感じられる。そして、その自然の中に根付く宗教が、人々の生活にどのような影響を与えているのかを目の当たりにすることで、私は自然と宗教の深い関わりを再認識した。

同じように、長崎五島の自然にも特別なものを感じる。五島の風景は、海と山が織りなすダイナミックな景色でありながら、その中に静かで厳かな雰囲気が漂っています。この自然の中で育まれた信仰は、人々の生活に密接に結びつき、彼らの心の支えとなっているのである。イギリスと長崎、異なる文化と風土の中で感じた自然と宗教の関係が、私にとっての大きな学びとなりました。


中学校の同窓会は、ただの再会の場ではなく、お互いが歩んできた人生を共有し、再び「一座」を築き上げる場でもある。たとえその場にいなくても、心の中で共に一座を築くことができるというのが、「一座建立」の真髄であると私は信じている。もし私の著書を通じて、友人たちが自然と宗教、人間の関係について思いを巡らせ、何か新たな発見や共感を得てくれることがあったら、この上ない喜びである。心の中には長崎の風景が鮮明に浮かび上がってくる。長崎の坂道や海、そして昔のままの校舎。その全てが、私の心に暖かな記憶を呼び覚まし、友人たちとの再会を夢見ている。

懐かしい友人たちと共に過ごした時間を思い出すたびに、胸が熱くなります。あの頃の私たちは、未来のことなど何も知らず、ただ目の前の生活に全力を注いでいました。しかし、その純粋さと情熱が、今でも私たちを繋ぎ続けていると感じるのです。

私の著書には、イギリスと長崎五島の自然に触れた経験を通じて、自然と宗教、人間との関係についての考えが綴られています。自然は、私たち人間にとって、ただの背景や環境に留まらず、心の安らぎや信仰の源となる存在です。イギリスと長崎、それぞれの土地で感じた自然の力と、それに根付く宗教的な営みが、私たちの心にどのような影響を与えるのかを考えながら書き進めました。


「一座建立」という言葉の意味を改めて噛みしめながら、私は長崎での同窓会に思いを寄せ続けよう。物理的な距離を超えた心の繋がりが、今この瞬間もどこかで築かれていると信じています。そして、その繋がりこそが、私たちを生涯にわたって支え続ける大切なものだと、強く感じている。

これからも、私は「一座建立」の精神を胸に、人生の一瞬一瞬を大切にしていきたいと思います。たとえ離れていても、心は常に繋がっている。そのことを信じて、これからも歩み続ける。いつか再び長崎の地で、友人たちと共に新たな一座を築き上げる日を楽しみにしている。