第02回 倫敦再訪-2

P1020363古くて新しいもの
写真は1999年末ミレニアム記念事業の一つとしてテムズ川右岸に作られた世界最大級の観覧車(London Eye)である。
今回のフランス放浪の前にロンドンに立ち寄った理由は、ロンドンにおいてどうしても2つの目的を達成したかったからである。1つは第1回に書いたが、「変わらないロンドン」を、およそ25年ぶりの住まい訪問と世界遺産キューガーデン散策で味わうことができた。一方新しいもの、「変わるロンドン」も自分の目で確かめたかった。目に見える変化に限れば明らかに2012年のロンドンオリンピック開催が、街並み変化の一因と言えるだろう。第30回(およそ120年)の開催候補地として名乗りを上げた都市(パリ・ニューヨーク・モスクワ・マドリード)の知名度から、その激戦ぶりが容易に想像つくが、つまるところは各都市の警備・安全性の比較からロンドンは他の都市よりずっと勝っていたのではないだろうか。
加えて、オリンピック開催の趣旨を将来まで大切に引き継げるように意図して開催を実現できたのは、イギリス人の知恵によるところが大きいのではなかろうか。(2020年の東京オリンピック開催計画にも是非日本人の知恵を反映させてほしい)。僕が今まで訪問したことがある世界中の首都の中で、(テロ襲撃ばかりは今日絶対安全といえる場所はこの世にないかもしれないが)、ロンドンは東京と並んで最も安心感を持って街を歩ける都市の一つといえる。パリもニューヨークもベルリンもマドリッド…も、形は違えど何かしら身構えて歩かなければならないことを経験した。
写真の“London Eye”は、帰国後の出張時には当然遠くから眺めていただけだったので、いつの日か観覧車に乗ってテムズ川を上から眺めたいと願っていた。それが今回の放浪旅でやっと実現できたのである。20人余りを乗せた大きなカプセルは、約30分かけて一周する。地上では細かい路地裏を歩いてよく知っているはずの街を上から俯瞰することができて、乗るのに2時間以上並んだこともすっかり忘れてしまうほど感動の30分だった。United Kingdom(U.K.)の首都ロンドンは、長い歴史を持つイギリス王室のもとで、他国に先駆けて議会制民主主義が発展してきたので、国王の住まいである「バッキンガム宮殿」と議事堂である「ビッグベン」がまず目を引く。どちらの建物も安定した統治環境の所産で、いわば大人の雰囲気が漂う、治安が行き届いた落ち着いた街並みが特徴である。
(パリについては後章で詳しく述べるが)幾度かの激しい市民革命の繰り返しの結果出来上がったフランス共和国の首都パリの街並みはといえば、統率支配を嫌がる一般民衆や、個性を尊重する芸術家たちが自由に作り上げてきた街並みが多い。簡潔に言えば、一人で散歩して落ち着いて考え事をしたくなるのがロンドンの街、二人で散歩して浮き浮き自由感覚になれるのがパリの街というのが、今回の旅で僕が再認識した点である。両方の街ともに、テムズ川とセーヌ川という大きな川が流れていて市民に安らぎを与えてくれるのだが、同じクルーズをしても、セーヌ川では思わずシャッターを切りたくなるし、何かおしゃべりして飲み食いしたくなるし、河岸を散策するカップルたちにも「元気?」と手を振りたくなるのである。それにしてもパリのカップルが、いつも肩くんでキスばかりしているパリの光景は、異文化の一人旅者には目障りで少し癪な気分になる。所詮出来ない者の負け惜しみと羨みであることをよく理解しているが、思うに66歳日本人男性の独り旅もフランス人にとっては、目障り且つ奇異なものに映っただろう。

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