はじめに
ここまでは、私がロンドンに駐在した1990年台初頭の英国のことを、10年後の2000年前後に「月刊ドラッグマガジン」に毎月連載した29の文章(元の文章に多少の校正を加えた)をまとめてご紹介した。
さらに2016年に英国は、国民投票による「Brexit(EU離脱)」を敢行するのである。国民投票の結果は、大方の予想を覆して賛成票が 51%と反対票を僅かに上回るものだった。Brexitに対する色々な評価が錯綜するが、英国民はEC/EU加盟以前の「古き良き英国」への回帰を望んだということだろう。つまり賛成派は「地方・高齢・保守的思想」が望むことに一致しており、若者の考えと対比することができる。
35年ほど前に2年半ロンドンに駐在して英国中を飛び回った筆者の個人的見解としては、「都市化傾向」に反対してBrexitを敢行した英国民の真の賢さに共感を覚える。政治経済的側面からの評価は10年以上は必要だろうから後に譲るとして、文化的側面、特に人間の在り方から考えて、英国は大変いい選択をしたと思っている。その主な理由は都市化によって自然との接触がなくなりつつある世界的傾向に逆行する選択だからである。