(05).お金の発明

お魚咥えたイヌと、お肉を咥えたネコが物々交換している光景を我々人類は見たことがない。他の動物に無い人間の脳だけが作ったものは言葉だけでなく、お金もそうである。脳ミソによる「同じ化」は前節で言葉の発明として話をしたが、「同じ化」する能力で「a=b」の世界を切り開いた。イコールは価値(value)の同じ化を進めてお金を発明した。同じ化する能力がない他の動物の世界では言葉もお金も存在しない。お金の発明は、人間社会が複雑化し、物々交換などの原始的な取引方法だけでは効率的な経済活動が難しくなった結果の必要性から生まれたものと考えらる。
しかしお金が発明されると、それをめぐる紛争や問題も当然生じた。例えば、お金の価値や所有権の問題、お金をめぐる詐欺や偽造、お金をめぐる競争などが必然的に起こった。産業革命期に脳化社会や都市化が急激に進んだ結果、当然通貨政策や経済政策を巡る意見の対立を生じた。マルクスが問題視した「富の分配」である。

このように、お金の発明は経済活動を効率化する一方で、新たな問題や紛争(殺人や戦争)をもたらすのは、物欲から逃れられない人間の宿命であろう。しかし、お金は現代社会において不可欠なものとなっており、その運用や管理に関する様々な法律的規制や制度が整えられている。お金が人間社会にもたらした効果と問題について、功罪両面から思いつくままに以下説明すると‥

【功】経済の効率化
お金の導入により、物々交換やバーター経済から市場経済への移行が可能となり、経済活動が効率化されました。商品やサービスの価値をお金で表すことで、取引が円滑に行われるようになった。具体的には以下の3点が指摘できる。

  1. 資本の形成: お金を使って貯蓄や投資が可能になり、資本の形成が促進されました。これにより、企業や事業の成長が支援され、経済の発展が促進された。
  2. 貿易の拡大: お金の導入により、地域や国家間での貿易が拡大しました。貨幣を共通の交換手段として用いることで、物々交換に比べて取引がスムーズになり、国際的な交流が活発化した。
  3. 効率的なリソース配分: 価値をお金で表すことで、需要と供給が調整され、リソースの効率的な配分が可能となりました。これにより、需要に応じた生産やサービス提供が行われ、社会全体の福祉が向上した。

【罪】貧富の格差
お金が生まれることで、富の蓄積や分配に不均衡が当然生じる。一部の人々が豊かになる一方で、他の人々が貧困や経済的な不安に苦しむ。

  1. 価値観の歪み: お金の導入により、物質的な富や消費が重視される傾向があります。これにより、人々の価値観が歪んだり、消費主義が進行したりすることがあります。
  2. 資源の浪費と環境破壊: お金があることで、資源の浪費や環境破壊が進むことがあります。経済成長や利益追求が優先されることで、環境への負荷が増大し、生態系の破壊や気候変動などが引き起こされる可能性があります。
  3. 不正や犯罪の増加: お金が経済活動の中心となることで、詐欺や汚職などの不正行為や、資本犯罪のリスクが増加することがあります。金銭のやりとりが増えることで、犯罪組織や詐欺師などが悪用する余地も生まれます。

以上のように、お金は経済活動の効率化や発展を促進する一方で、貧富の格差や環境破壊などの社会問題を引き起こす可能性も持っている。そのため、お金の使い方や経済システムの設計には慎重な配慮が必要である。