(1).右脳的と左脳的とは
そもそも右脳と左脳の概念は、神経科学に基づいており、それぞれが扱う「認知の種類」に大きな違いがあることを主張したものである。ただしこの考え方は、あくまで我々素人に一般化された見方であり、実際の脳の働きはもっと複雑である。たとえば、「意識と感覚」、「意識と行動との関連性」‥はじめ、完全に実証されていない未知の分野が多いそうだ。
ただ両半球は連携して微妙なバランスを取りながら働いているという事実に着目すれば、まるで自然と都市の特性をバランス活かして暮らすことが大切なことが分かる。ただ21世紀になって「環境問題」が浮上してきた背景には、人類の都市化傾向に歯止めがかからないで、人類が環境問題への配慮を怠ってきたことは否めない事実のようだ。人間の意識が及ばない自然界を人類が思いのままにコントロールできると勘違いしていると言わざるを得ない。
つまり私は、右脳左脳の連携が、人類が暮らしてきた自然界と都市部の連携と類似してきたことは疑いがない。そのうえで、『右脳的な自然と左脳的な都市』を総論として定義づけたものである。以下に、一般的に考えられる右脳的思考と左脳的思考の特性をまず述べる。
・左脳的思考とは、
- 論理的・分析的: 状況は要件を分解し、系統的に理解する。
- 言語能力: 一般的に左脳は言語を処理し、話す能力、理解力、読解力、文字を書く能力などを担当します。
- 数学的課題: 数字やパターンを認識し、計算を行います。
- 実際的: 事実と詳細に基づいた意思決定を行います。
- 現実的: 左脳は現実をそのまま受け入れ、それに基づいて行動します。
・右脳的思考とは、
- 想像力豊か: 新しいアイデアや概念を生み出すことが得意です。
- 直感的: 明確な証拠や論理的な思考に基づかないものの、何かを”感じる”能力を持っています。
- 非言語的: 音楽、美術、舞踊などの芸術的表現を理解し、創造する能力があります。
- 抽象的な思考: 大きな絵を見て、抽象的な概念や寓意を理解できます。
- 感情的: 右脳は感情と感情的な反応を処理します。
これらは一般的な特性であり、全ての人が明確な「右脳型」または「左脳型」に分類されるわけではない。ただ自然と都市の関係の如く、特性をうまく組み合わせて、右脳的な芸術家もいれば、左脳的なリアリストもいるのである。これらの特性の組み合わせがそれぞれの人をユニークにしているといえるだろう。
(2).「右脳型の自然、左脳型の都市」の根拠
もう少し自然環境と都市環境が人間の認知や行動にそれぞれどのように影響するかを説明しよう。自然環境は人間の心をリラックスさせ、創造性や直観、全体像を把握するような”右脳的”な能力を刺激すると言われている。すなわち、自然と接することでストレスが緩和され、リラクゼーション状態へ導かれることを我々はよく経験するところである。これは豊かな緑や美しい風景が、感情や創造性を刺激し、新しい観点やアイデアを促進するからと考えらる。
対比的に、都市環境は、情報量が多く、刺激が設定的であるため、我々の脳を”左脳型”のモードに引き込む傾向がよくある。都市生活では、多くの課題に対処し、情報を素早く処理し、多くのタスクを同時にこなすことが求められる。これには論理的な思考、詳細への注意、ゴール指向の行動など、一般的に「左脳的」とされる能力が必要となる。IT技術の活用がその典型な例である。
しかし、どの環境でも個々の経験や行動は左脳と右脳が協力して行われることも事実で、これらが一方だけに分断されていないことを覚えておくことが重要である。人間の身体でいえば、首の頸椎の部分で神経が交叉しているそうだから、脳梗塞などで身体のマヒが生じる時に、(女性に多い)右脳的な思考をする人(女性に多い)は左半身を、左脳的な思考的をする人は右半身が多いと友人の医者から聞いたことがある。それにつけても、「自然は右脳的、都市は左脳的」という言い方は、それぞれの環境が要求する思考の方式に関する一般的な観察を表していることを理解しておくのが大切だろう。
(3).「右脳と左脳の連携」について
実際に、人間の行動や思考は左脳と右脳の絶えず連携した活動によって成り立っており、自然環境における右脳型の視覚的、直観的思考と、都市環境における左脳型の論理的、分析的思考を適切に切り替えて使用することで、人類はさまざまな環境に適応し、さまざまな課題を解決する能力を持っています。
この組み合わせがうまく機能することで、創造性や革新、複雑な問題解決など、人間の高度な思考や行動が開花する。したがって、右脳と左脳が協力する働きを理解し、両方の考え方をうまく統合していくことが、個々人の学習やキャリア、全体としての人類の進化にとって重要な要素となる。
(4).環境問題と左脳的思考
産業革命以降、特に20世紀後半になると、科学的かつ論理的な「左脳的」思考が強調され、この結果として技術の発展や経済的な成長が促進されました。
しかし、その一方で、このプロセスは自然環境を過度に消耗し、気候変動、生物多様性の喪失、大気や水質の汚染といった環境問題を引き起こす原因となりました。これは、左脳的思考の特性である細部への集中や短期的な利益に重きを置く傾向が、全体的な生態系のバランスや長期的な持続可能性を見落とす結果となったと考えられます。
したがって、21世紀に入って環境問題が注目され、それに対処するための解決策が模索されている背後には、確かに「左脳的」思考に過度に依存したことの反省が存在していると言えるでしょう。これは「右脳的」思考の価値、つまりシステム全体を理解する視覚的思考や長期的な視点、直観的な解決策の重要性を再認識するきっかけともなっています。
(5).見直される右脳的思考
21世紀の現代社会は、多様性と複雑さが特徴である。これらの問題に対処するためには、左脳的な論理的な思考だけでなく、右脳的な直観や想像力を使って全体像を捉え、異なる視点を統合する能力が求められます。
特に環境問題や持続可能性に関連する課題は、多角的で長期的な視点から捉えることが必要である。これらの問題に対応するためには、「全体のパターンを理解する力」や「直感的な視野を広げる力」などの右脳的思考が必要とされます。
また、科学技術の進歩により、情報量が増大し、その複雑さも増している。このような情報社会では、大量の情報を効果的に処理し、重要な情報を抽出する能力、新しい視点やアイデアを生み出す創造力などが重要となります。これらは右脳的な能力に関連している。
したがって、これからの社会で成功するためには、左脳と右脳の両方の思考をバランス良く利用し、統合する能力が不可欠と言えよう。